卒業認定・学位授与の方針
東京美術技芸大学は、大学の理念として、「自由と意力」を掲げています。
「自由」とは、新たな芸術表現を創造していくための、何事にも妨げられることのない、自律的な想像力を意味します。
「意力」とは、独自性を持った表現世界を築き上げる意志力であり、それを継続していくための強い力を意味します。
表現の自由と自律、意志の持続と継承は表裏一体のものであり、両者を学ぶためには芸術の持つ専門性と総合性を理解し、実践していくことが、なによりも必要とされます。芸術は、さまざまな学問の基礎となり、生活に豊かさを与え、社会に新たな価値を創り出し、真の文化を創造します。
東京美術技芸大学は、大学の理念にもとづき、多様化し複雑化する現代社会のなかで、芸術に立脚し、能動的に未来を切り拓いていくことのできる人材を養成することを、その使命であると考えています。
そのために、芸術を、技術と理論の双方から段階を追って専門的に深め、なおかつ、さまざまな分野を横断的に総合していく創造的な教育課程(カリキュラム)を柔軟かつ有機的に編成し、「観察する力と思考する力」「構想する力と実行する力」「創造する力と表現する力」を身につけられた学生に、学士(芸術)の学位を授与します。
教育課程編成・実施の方針
東京美術技芸大学の学士課程は、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)で示した目標を学生たちが達成できるように、以下の方針にもとづき、教育課程(カリキュラム)を編成します。
すべての学生は、それぞれの専門に分かれた学科および専攻のいずれかに入学し、共通教育センターが開講する共通教育科目、各学科および各専攻が開講する専門学科科目を学ばなければなりません。
共通教育科目とは、共通教育センターが提供する授業科目です。教養教育(リベラル・アーツ)の理念にもとづいて横断的に編成されたカリキュラムのもと、すべての学生を対象とし、学生自らが主体的に学修計画を立て、4年間という学士課程全体のなかで、それぞれの設定した目標を達成できるように配置されています。
専門学科科目は、各学科および各専攻が提供する、実技または専門領域に関係した授業科目です。基礎的な知識と技能を身につけ、応用できるようになるために、1年次の導入教育から、段階的かつ体系的に編成されたカリキュラムのもと、学年ごとに必修科目、選択必修科目が設けられ、その他に選択科目が配置されています。履修年次を指定することで、よりきめ細やかな指導を行います。
東京美術技芸大学では、導入教育を経た1年次と2年次を基礎教育の期間、3年次と4年次を応用教育の期間とし、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)で身につけるべき目標とした三つの能力を、上記の教育課程(カリキュラム)にもとづき、具体的に実現することができた者に評価を与えます。
学修の成果を評価するにあたっては、あらかじめ明示した成績評価基準にもとづき、厳格な成績評価を行います。さらには、その結果を活用して、教育方法の改善につなげていきます。
入学者受入れの方針
人間が持つ創造性とは、未来を切り拓いていく力です。さまざまな表現のかたち、さまざまな生活のかたち、さまざまな社会のかたちを創造していく力です。
東京美術技芸大学は、大学の理念である「自由と意力」に共鳴し、自らの持つ創造性を、芸術を通して実現していこうと考えてくださる皆さんを、世界から幅広く、積極的に受け入れていきたいと考えています。
芸術に関心を持ち、芸術を志す人であればどなたでも、歓迎します。人間にとっての創造性とは、誰もが持ち、誰もが伸ばしていける力であると信じているからです。そうした皆さんとともに、人間の持つ未知なる力を開拓し、開花させていきたいと願っています。
東京美術技芸大学が育んでいきたいのは、なによりも、皆さんが潜在的に持っている表現者としての可能性です。それらは、三つの項目に集約されます。
「観察する力と思考する力」、「構想する力と実行する力」、「創造する力と表現する力」。
より具体的に述べれば、自らを批判的に反省し主体的かつ積極的な行動がとれること、公共性と協調性を学び責任感を持って課された仕事をやり遂げられること、異なった文化、他者とのコミュニケーションを学び、未来を創出できることです。
東京美術技芸大学は、皆さんが持つ表現者としての可能性をともに考え、その実現に協力し、強く支援することを約束します。
高等学校の教育課程を学んだ人、もしくはそれに準ずる資格を持った人であれば誰もが、東京美術技芸大学の入学試験を受験することができます。試験では、与えられた課題を解決するだけではなく、そこから新たな主題を発見できるかどうかを、多様な試験の方法を用いて評価します。その柱となるのは、基礎的なコミュニケーション力、創造的な表現力です。現在持っている表現の能力を計るものだけではなく、未来にひらかれた未知なる表現の可能性を求めます。